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海馬のMRI脳画像診断
海馬が引き起こす発達障害
成長する海馬の秘密
MRIや病理像を診れば、今や脳の病気のほとんどは診断可能です。
しかし発達障害は、MRIを見ても「正常」と言われて誤診されてしまう最たる疾患でした。
もし発達障害が脳の病気ならば、当然、MRIや病理像に病因が存在していないわけがありません。
脳の内部には「海馬(かいば)」という、記憶に関係していると考えられている部位が左右にありますが、海馬の発達が遅れている場合などに発達障害が高頻度に認められます。脳梁欠損症でも、しばしば海馬回旋遅滞症を伴っています。
海馬は、記憶や空間学習能力に関わると言われている部位です。殆どの人が乳児期の記憶に乏しいのは、海馬とその周囲の成長が未熟なことと関係しているのではないかと考えられます。
海馬のMRI脳画像のように、海馬は側頭葉に並行して長く位置しており、長さは成人の場合およそ6センチメートルです。
この海馬の長軸に対して、直角に輪切りにした断面の模式図を胎児期から成人まで並べて示すと、以下の図のようになります。
このように、海馬は最初から成人のような形をしているのではなく、ゆっくりとカタツムリの螺旋{らせん}のように回旋しながら、折れ曲がるようにして成長していきます。
胎児では、海馬の神経細胞は平らな形で並んでいます。それが、折れ曲がりながら成熟し、胎児期の18から21週の頃には、成人の形に近づいていきます。そして海馬の回旋は、成人に至るまでさらにゆっくりと進んでいきます。
加藤俊徳医師は1998年、米国で海馬とアルツハイマー型認知症の記憶のメカニズムを研究するために、海馬の脳画像研究に取り組んでいました。ある日、ふとした思い付きで、海馬の発達が遅れたり止まったりする病気があるのではないかという仮説を立てました。
そこで、海馬の成長障害を診断するために、以下の脳画像のように、「海馬回旋角」を指標として定義して測定してみました。
海馬回旋角は、正常であれば、出生直前の60度前後から90度前後まで、順調に回旋することがわかりました。もし子どもや成人の脳の海馬が60度の回旋角に留まっているのであれば、その部分だけ胎児期のまま成長が遅れているということになります。
こうして、海馬の成長障害がはっきりと定量的に数値化して診断できるようになりました。
さらに調べてみると、ADHDの患者のように落ち着きがなかったり、限局性学習症(LD)や自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群、広汎性発達障害)を疑われた方の脳画像の90パーセント以上に、加藤俊徳医師が予測した海馬回旋の遅れが認められました。そこで、これを「海馬回旋遅滞症(Hippocampal Infolding Retardation 略称HIR{ヒア})」と命名しました。
海馬回旋遅滞症を認める脳画像の左右の海馬を比較してみると、片側の海馬のみが回旋遅滞を示している場合は、98パーセントの確率で左の海馬でした。また、男女比を比べると3対1で、自閉症の発症比率と似て男子に高頻度に発症していました。
海馬回旋遅滞症は、医学臨床上、注意欠陥多動性障害(ADHD)自閉症スペクトラム(ASD)限局性学習症(LD)の子どもや大人に認められます。
さらに症例を分析していくと、記憶系脳番地の成長発達が良好にもかかわらず、感情系脳番地の働きに問題がある子どもが多く見つかりました。
こうして、感情の中枢と言われる扁桃体を含めた海馬系脳番地は、こころの成長と知的発達の両方に関わっていることが分かってきました。
海馬の成長と老化
ヒトの脳がサルの脳からの進化型ならば、人類としての新しい情報や経験を脳内で積み重ねきたはずです。サルの海馬を見てみると、海馬の回旋状態が、ヒトよりも未熟であることがわかっています。
海馬の発達や加齢による体積変化は、MRIの登場以降、より詳細に調べられるようになりました。その結果、海馬が萎縮したり、やせ細ることが様々な病気で指摘されるようになりました。
もちろん、年齢とともに老化の波が押し寄せることも明らかになっています。
アルツハイマー病などの認知症、虚血性脳障害やてんかん発作による海馬萎縮だけでなく、パニック障害、うつ病、心的外傷後ストレス障害、統合失調症、境界性人格障害などの精神神経疾患でも、海馬萎縮が指摘されるようになりました。
1999年から2001年にかけて、加藤俊徳医師は、米国のメーヨー・クリニックのアルツハイマー病の臨床研究の権威、ノップマン博士らとともに、海馬や嗅内皮質{きゅうないひしつ}の研究を行いました。嗅内皮質は、アルツハイマー病では海馬よりも早期に病変が起こるとされている部位です。
その結果、20歳代と60~80歳の健常人の海馬と嗅内皮質の体積を比較すると、アルツハイマー病でなくとも、歳をとるに連れてどちらも体積が有意に小さくなっていました。アルツハイマー病の患者では、さらに海馬が強く萎縮している結果が出ました。
このように、個人差があるにしても全般的な傾向として、加齢に伴った海馬萎縮が人生の後半に起こることが分っています。
このように記憶や感情といったこころの問題も、脳の形の問題として把握することができるのです。
正常といわれたMRIの落とし穴
加藤俊徳医師はこういった発達障害の症例について、総合的に「海馬回旋遅滞症」という名前をつけました。
これまでは、発達障害の症例には、ほとんど明瞭な病変とはみられませんでした。海馬回旋遅滞症は、一般の病院では「あなたの脳は正常です」と見過ごされてしまう小さな未熟性です。
しかし現実には、子どもも大人も自分でも「人と違うんじゃないか」という不安があり、特に大人の場合には、周りが症状に気づかなかったり、あるいは「変わった人」というレッテルを貼られて働きづらい、といった大人独特の悩みがあります。
何故このような見落としがあったのでしょうか。その答えは簡単です。
下図をみて下さい。
この画像は、個人情報保護のため、画質を荒くして掲載しています。ご了承ください。
この詳細は、著作「脳と障害児教育―適切な支援への模索」にありますので、
ご興味がある方はそちらをご参照ください。
画像を3方向で撮ります。この海馬の病変はこの撮り方(角度や位置)ではっきり見えます。図に示したように、矢印①の部分も異常で、矢印③の部分も異常ですが、これを医師はほとんど見落としています。
海馬回旋遅滞症HIRの病気の概念そのものが新しいので、十分に広まっていないのも理由の一つです。
通常MRIは3方向で撮像することができますが、病院では必ず3方向を撮るわけではありません。
特に冠状断像は、海馬の病気を疑わないと詳細に撮像することがありません。海馬回旋遅滞症は②の冠状断像で最も診断しやすくなります。
海馬のMRIを撮影するのは、主にてんかんやけいれんを起こした場合です。 ところが、海馬回旋遅滞症でてんかんを合併するのは10%前後に過ぎません。
発達障害の脳を説明するIC理論とは?
発達障害の患者さんの症状に注目してみましょう。
例えば、注意欠陥多動性障害でも、自閉症スペクトラムでも、対人とのコミュニケーションや自己認識能力の低下が起り、扁桃体を含む感情系脳番地が関与示唆されます。一方で、記憶力が悪かったり、逆に特定の記憶力が極端に優れたリします。海馬が関係する記憶系脳番地の関与が考えられます。
実際には、発達障害といっても症状は、個人個人で、「知的機能:Intelligence(I)」が低下している場合や「コミュニケーション:Communication(C)」の発達が遅れている場合があります。両方の発達が遅れる(I・Cの遅れ)場合があります。
では、「知的機能:Intelligence(I)」と「コミュニケーション:Communication(C)」の両方が同時に障害されたり、一方だけが障害されることが、説明できる脳の部位があるのでしょうか?
あります。 扁桃体と海馬が相互に接して存在している部位とその周囲の位置です。
「知的機能:Intelligence(I)」と「コミュニケーション:Communication(C)」の障害が同時に起こる脳の場所は、扁桃体と海馬とその周囲の部位しかないと考えています。
一方だけならば、忘れ物が多い症状、限局性学習症や知的障害(Iのみ)、あるいは感情のトラブル、コミュニケーション障害(Cのみ)というように、発達障害の脳を説明するのが脳IC理論です。
大脳皮質の脳番地の発達はamygdala-hippocampal complex、扁桃体・海馬につながる辺縁系のところに重要な病巣があると考えています。
amygdala-hippocampal complexの発達、すなわち、海馬回旋の有無が、大脳皮質(脳番地)の発達と組み合わさって、様々な症状として表面化すると考えられます。
さらに詳細に調べたところ、海馬回旋遅滞症は3つの型にわかれることが分かりました。それを示したものが下図です。
高次脳機能が成熟していない時期に、高次脳機能障害を判定する困難さを補助する役割として脳画像は重要な役割をもちます。
今では、脳のMRIを利用して、左右の海馬回旋角も具体的に計測することができるようになっています。海馬回旋遅滞症がどこに起きるかによっても、症状が変わってきます。
発達障害を引き起こすくも膜のう胞
脳実質の表面は、外側から、硬膜、くも膜、軟膜と3層の膜に包まれています。
くも膜は、3層の膜の真ん中で、「くも膜下出血」という言葉でも、よく知られています。
しかし、「くも膜のう胞」はそれほど、一般に知られてはいません。
脳のMRIが脳ドッグでも撮影され、子どもの脳画像撮影も、MRIによって非侵襲になったことから、「くも膜のう胞」の発見率が上昇してきました。
一般的には、1000人に一人ぐらいといわれているようですが、加藤俊徳医師の経験では、
200-300人に一人ぐらいの割合で確認がされています。
くも膜のう胞は、脳表面の凹凸が急に変わる部位にできやすく、くも膜が二重になって袋状になったところに髄液が貯留したものと考えられています。ですから、側頭葉の先端部分や海馬の近くにできやすく、大きさも2-3ミリのものから10センチほどのものまで大小あります。
脳室には、もともと髄液が流れていますが、くも膜のう胞は、多くの場合、脳室と交通性がなく、外側に向かって液体内部の力が働くことになり、なかなか自然に小さくなりません。
このくも膜のう胞は、発達障害を引き起こすことが、一番問題だと考えてきました。
もちろん、全く影響があるように思われないくも膜のう胞もあります。
大人でもMRI脳画像で調べたら、たまたま、見つかる人もいます。
実際に、言語の発達が遅れた子どもの中には、左脳の言語中枢に接してくも膜のう胞が出来ていた場合がありました。
「くも膜のう胞」は、側頭葉の先端にできやすいので、海馬とその周囲が圧迫され、変形しやすくなります。
くも膜のう胞は胎児期から出来ている場合が多く、この場合には、回転して発育する海馬の成長を阻害する可能性が高くなります。
子どもの場合、左海馬の圧迫の方が、言語発達に影響し右海馬の圧迫は症状が出にくいと考えられてきましたが、全くそんなことはありません。
左海馬圧迫による言葉の遅れは周囲が気付きやすいだけで、右海馬の圧迫は、別な症状を呈します。例えば、怒りやすいとか、罪悪の分別、ルールを守る意識など社会生活では重要な機能を持っています。
怖いのは、「症状がない」と思い込むことです。脳が本来あるべき空間を占拠してしまい発達を阻害する原因になる発達性脳病変は、未来に成長する可能性を削ぐことが問題なのです。
「くも膜のう胞」は、良性の髄液の袋ですが、脳の成長を妨げる上では進行性であり、二次的な悪性症状を持つ場合があると考えても良いのではないでしょうか。
小さくて、影響の少ない場合もありますが、「くも膜のう胞」は、予防的に取り除くことが脳の枝ぶりには必要なケースもあります。
脳の枝が思いっきり伸びるためのスペースの確保が必要なのです。
特に、海馬や扁桃体を圧迫している場合は、海馬回旋遅滞症を引き起こしている可能性が高いので、二次的な合併症が発生しやすいと考えられます。
場合によっては手術もリスクを十分配慮しながら、検討する必要があります。
海馬を圧迫するくも膜のう胞のMRI診断
拙著「脳は自分で育てられる」(第一章MRI画像で分かる脳の詳細)の一節を引用します。
自覚症状のない脳の病気
加藤俊徳医師が医学部を卒業した1987年頃から、MRI脳画像が実際の臨床現場で応用される頻度が高くなってきました。この時代に育った医師たちは、精度の高いMRIによって脳診断することが常識になっていきました。
MRIが臨床現場で汎用されるようになると、被験者に症状がまったくないにもかかわらず、偶然に脳の病気が見つかるようになってきました。
(中略)
医師は、その教育課程で、患者の症状をよく見て診断と治療をするように教育されます。
しかし脳に関しては、それだけは必ずしも十分ではありません。
脳の病気は必ずしも、すべて外見や自覚症状として表れるわけではないからです。
上記の代表的な脳疾患の一つがくも膜のう胞です。
そこで、私は、なぜくも膜のう胞は、自覚症状がないのか?
本当に、医師が診察しても、IQ検査や認知力検査をしても、
他覚症状がないのだろうか?
もしかして、教育的に見たら学習困難、限局性学習症を引き起こしていないのか?
大人になって、職場で問題を起こしていないのか?
などに注目して研究を進めてきました。
上記のMRI脳画像は、側頭葉の先端部分から非交通性のくも膜のう胞が側頭葉を後方に圧迫している様子を示しています。
くも膜のう胞のない対側の海馬と比較すると感情やコミュニケーションに関わるとされる扁桃体を上方に屈曲させて、海馬の頭部も変形させていることが明らかです。
脳が高い脳圧で圧迫させられることで、その部分の活動が低下するだけでなく、脳の成長が慢性的に遅れます。
このように側頭葉にあるくも膜のう胞は、成長過程で二次的に「海馬回旋遅滞」を引き起こす原因にもなります。
脳番地の成長の遅れはいずれ個性となって表れます。
性格や個性を自覚するしないは本人次第ですが、様々な認知心理学の検査法は、性格や個性を問題への解答の仕方で推測しようと試みてきました。
さらに、現在ではMRIで脳を撮影することで人の脳個性や脳習慣は鑑別できます。
くも膜のう胞で引き起こされる症状
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症例1: 少し頭が大きく、時々頭痛がある
毎日、運動するとひどい頭痛とめまいがすることに気が付くようになった(小学生)。
以前から、時々、頭痛を訴えていたが、収まっていたので放置していた。【結果】
MRI脳画像診断では、右側頭葉に直径6cmほどのくも膜のう胞が見つかりました。
脳底動脈を右側から圧迫していたために、脳動脈が変位していました。くも膜のう胞が、脳槽と交通性があるか、ないかを造影CT検査を行い確認しました。
検査の結果、非交通性くも膜のう胞と診断。WISCIVなどの心理検査では、正常範囲でした。
しかし、頭の形をよくみてみると、くも膜のう胞のある頭蓋骨が膨隆して左右非対称でした。
開頭による神経顕微鏡手術を受けることになりました。ところが、手術を待っている間に、くも膜のう胞の圧はさらに高まり、側頭葉だけでなく、前頭葉の眼窩回を圧迫し始めました。「無症候性くも膜のう胞」と診断を受けた中には、実際に、自覚症状がなくても、他覚症状がある場合も、子どもでは少なくありません。
例えば、頭痛も、5-6歳の子どもが自覚できるのは、かなりひどい場合です。
物事の学習が進まないことも症状の一つですが、勉強ができないことを小学生の低学年が自己認識することは困難です。【予後】
上記のお子さんは、手術後、頭囲の拡大は収まり、頭痛の頻度はかなり減りました。
しかし、中学生になると、鉄棒を回転した場合、頭痛が起ります。
手術によって、くも膜のう胞は、脳槽と交通したのですが、のう胞自体は、直径4センチほどのままです。子どもの場合、自分で症状を自覚することが困難であることを家族も専門医も注意する必要があります。
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症例2: 注意欠陥障害が強くADHDの傾向があった
良く爪を噛んで、手先の爪が短い、小学校の時は、あたまをぶつけたり、良くけがをしていた。
軽い骨折をしたこともある。【結果】
MRI脳画像診断では、左側頭葉に接してくも膜のう胞が見つかりました。
くも膜のう胞による圧迫のため、左海馬回旋遅滞が明らかでした。
高校受験を控え、ADHDの症状が強く、すぐに感情を荒げていましたが、投薬治療でADHDの症状は治まりました。
ADHDの患者さんの中には、くも膜のう胞を認めることもあります。 -
症例3: いつもボーとしていて成績不振
幼少時期より言葉が遅れていました。発達が遅れているので専門家に相談していましたが特に、
MRI検査を進められることもなかった。心理検査では、平均よりやや低めといわれていた。【結果】
MRI脳画像診断では、左前頭葉の伝達系脳番地(ブローカ野)に接してくも膜のう胞が見つかりました。
あらためて、心理検査をすると、言語性作業記憶のスコアが低く、限局性学習症で、音読障害を認めました。
その後、脳神経外科医に紹介しました。
~その他、くも膜のう胞で注意しておきたいこと~
くも膜のう胞の手術を受けても、発達障害が改善するとはかぎりません。一方で、いままで症状がなかったのに、注意障害の症状がでて、発達障害の診断を受けるケースもあります。
また、くも膜のう胞に接した脳の部位にグリオーシスなど脳病理上の変化が起こっているケースもあります。それが原因でてんかん発作もあり得るでしょうし、それが原因でなくとも、てんかんが起こることも想定はできます。
脳のどの部位にくも膜のう胞があり、そのくも膜のう胞によって、周囲の脳番地の成長がどのような影響を受けているかを見極める必要があります。くも膜のう胞自体の進展、予後を予測するのは難しい点があります。
くも膜のう胞の診断をうけて、今後大きくなるようであれば手術が必要ですと医師につげられることもあります。くも膜のう胞があった場合でも、全く問題なく経過している場合もあります。しかし、その場合でも、認知機能検査で脳機能の一部が低い数値を示すこともあります。
幼少より見つかったくも膜のう胞を観察していると周囲の脳番地の成長をさまたげているケースがあります。それによる症状、学習面での問題は、ないがしろにすることができません。
特に、医師が学習面の症状を検出するには1、2度の外来診察では難しく、実際症状があるのに「ない」とされやすいことも注意が必要です。
海馬(かいば)を鍛える!
物忘れと密接に関係している脳番地の一つが、海馬(かいば)と考えられています。
物忘れは、日常茶飯事のいわば経験的事実です。
しかし、物忘れは、気がつく場合と気がつかない場合があります。
その理由は、本人の自覚によるからです。
もし、物忘れが本人の自覚だけでなく、他人にも気づかれるほどであれば、
要注意のサインを考えてもいいでしょう。
このように、物忘れは、自分や周囲が気がつくことで、分かってきます。
では、物忘れの張本人であるかも知れない海馬の健康管理はどうやって
行えばよいのでしょうか?
【海馬の健康管理】
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一つ目は、日頃から海馬だけでなく、海馬の周囲の脳番地を使って
強化しておくことです。意識的にものごとを覚えるようにしましょう。 -
二つ目は、持続的な過剰ストレスの回避です。
ストレスは脳の成長に必要なことである反面、過剰なストレスが持続すると
テロイドホルモンが過剰にでて、海馬萎縮の誘引にもなりかねません。
鬱や引きこもりを誘引するような過度なストレスは避けましょう。 -
三つ目は、思い出と学習の使い分けです。
思い出すことと、新しいことを学ぶのは、海馬の前と後で
役割を変えていると考える仮説があります。この仮説の通りだとすれば、海馬の場所の使い分けが必要になります。
思い出にふけるだけでも不足、新しいことを学ぶだけでも不足。
昼間は勉強、夜は家族との思い出話などを楽しむのがいいでしょう。 -
四つ目は、左右の海馬の使い分けです。
右海馬と左海馬では、成長に差があります。左海馬の方が右海馬より
言語記憶の役割を担っていると仮説しています。したがって、海馬に過剰なストレスを加えないためには、
記憶する内容の使い分けが必要です。
言葉を覚えるだけでなく、地理などの空間的な記憶を
バランスよく行うように心がけましょう。
海馬は成長しますし、老化もします。
成長は生後より始まり、40歳代まで続きます。したがって、40歳代までに、海馬を
使って十分育てておくことで、老化しにくい海馬に鍛えられると考えています。
また、海馬は脳内の色々な脳番地と連絡を取り合っていますので、同じ脳番地だけを
使うのではなく、様々な脳番地を使い鍛えることが大事です。
現在、海馬の大きさは、MRIで撮影された脳画像にで計測することができ、海馬が
成長しているのか、老化が始まっているのか確認することができます。
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脳画像診断ご希望の方
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海馬を鍛える7つの心得
80歳になってもボケないためには、海馬をイキイキさせることが大事です。
【7つの心得とは】
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心得1...
積極的に先の予定を立てる人、未来像に向かう自分がある人、
未来をつくろうとする人はボケない -
心得2...
時間を意識して生活する人はボケない
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心得3...
先入観を持たず、人に接したり、新しいことに挑戦する人はボケない、
いやみのない人はボケない -
心得4...
普段の生活と反対の立場や考え方でも行動できる人はボケない
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心得5...
自分のすべき価値、プライドを信じて行動する人はボケない、
後輩や日本への思いやりや使命感を実現しようとしている人はボケない -
心得6...
運動時間、睡眠時間をきちっととる人はボケない
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心得7...
健康な食生活を保つ人はボケない、健康のために守って続けていることが
一つ以上ある人はボケない